アーカイブ|ラジオでお話しした12の話
エフエム鹿児島の番組「遠山明男のオセラジ」で、屋久島ヴィータキッチンの料理担当・小林惠が、2023年4月から3か月間、全12回にわたり食にまつわるお話をしました。
レストランのこと、料理教室のこと、屋久島の食材や商品づくり、お客様との出会い、日々の食卓、そしてこれからやってみたいこと。
毎回ひとつのテーマを決め、最後にはご家庭でも楽しめる簡単なソースのレシピをご紹介していました。
放送から時間が経ち、あらためて原稿を読み返してみると、今の屋久島ヴィータキッチンにつながっている考え方や、仕事の原点がいくつも残っていました。
そこで今回、当時の原稿を全12回まとめて、ひとつのアーカイブとして残すことにしました。
文章や表現、商品名、料理教室の会場などは、基本的に放送当時のものをそのまま掲載しています。
※本文中の店舗・商品・料理教室の会場や名称などは放送当時の情報です。現在のお料理教室については、記事の最後でご案内しています。
目次
- 屋久島ヴィータキッチンと、私の仕事
- 食の仕事に関わるきっかけ
- お料理教室① ソースの面白さを伝える現場
- お料理教室② レストランとはひと味違う交流の場所
- エルメスの仕事に関わらせていただいた話
- 屋久島のたんかんとヤクシカのこと
- お客様とのエピソード
- 印象深かったお店のお話
- 我が家のいつものごはん
- つくること、食べること。私の趣味の話
- 鹿児島の良さを、もっと生かすために
- これからの目標、大切にしていきたいこと
第1回|屋久島ヴィータキッチンと、私の仕事
はじめまして、小林恵と申します。屋久島町にある「屋久島ヴィータキッチン」というレストランで料理を担当しております。このコーナーでは、食にまつわるお話を中心に、お料理に役立つソースレシピなどもご紹介してまいりたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
初回は自己紹介を兼ねて現在のお仕事の話をさせていただきたいと思います。
私の仕事は、レストランで料理を作ること以外にもいくつかあり、屋久島の食材を使ったスイーツや加工食品の製造、商品開発や製造技術指導などのコンサルティング、月に1回程度天文館のマルヤガーデンズでお料理教室などもしております。
屋久島ヴィータキッチンという名前についてですが、ヴィータはイタリア語で生活とか命という意味で、「屋久島の生活を幸せにしていきたい」という思いを込めました。2009年の4月にオープンしたので14年がたちます。主に観光のお客様に利用していただいています。
屋久島は観光シーズンのオンとオフがはっきりしていて、冬の時期は島の人口が半分になるんじゃない?というほど閑散とします。そこで、レストラン以外にたんかんジャムやスイーツなどを製造し、島内のお土産屋さんで販売を始めました。閑散期には商品を島外にも販売したいと考えて、鹿児島の商談会に参加したところ、関東関西の百貨店さんがたくさんお声かけてくださり、この時、屋久島ブランドは島外で求められていることも実感しました。わざわざ島を訪ねてきてくださったバイヤーさんのお一人が、レストランで出しているパスタを商品化したらどうかとアドバイス頂き、「屋久島パスタラボ」というパスタソースブランドが生まれ、現在はJALや百貨店のお中元カタログなどで販売させていただいております。
こうした経験をお伝えできればと、商工会や商工会議所のコンサルタントとして鹿児島県内の事業者からのご相談をお受けするようにもなりました。
お店のお仕事というより、個人的な活動として行っているマルヤガーデンズでのお料理教室では「ソース」をテーマにしています。お料理教室についてはまた詳しくお話したいと思っていますが、ソースというのは家庭の味だと思っていて、ソースを変えるだけで、料理が洋風になったり和風になったり、ちょっとおもてなしの料理になったりするんです。何種類のソースを知っているかっていうことでお料理の幅がぐんと広がりますよ!
では最後に本日の簡単ソースレシピのご紹介です。
今月の簡単ソース|九州醤油ソース
最初は日本人に馴染みの深いお醤油を使ったソース。
お醤油と生クリームを1対2くらいで混ぜるだけ!
それだけでコクのあるまろやかなソースになります。
例えばフライパンでソテーしただけのお魚に添えると洋風になりますし、豚しゃぶサラダにかけてもいいですね。生クリームがない場合はコーヒー用の小さなポーションでも代用できます。
鹿児島のお醤油は甘みがあるので特にソースにむいているんです。ほんのりとしたベージュ色の九州醤油ソースが、食卓を優しく彩ってくれると思います。ぜひ試してみてください。
第2回|食の仕事に関わるきっかけ
こんにちは。小林 恵です。「屋久島ヴィータキッチン」というレストランで料理を担当しています。
今回は、食の仕事に関わるきっかけをお話ししたいと思います。
15年前、鹿児島市から屋久島に来たのは、夫がホテルでワインの仕事を任されたことがきっかけです。私も同じホテルで働いていましたが、なんと1年ほど経った時に突然倒産してしまい夫婦共に仕事がなくなってしまったんです。そこで、屋久島に残って飲食店をしてみようと2009年に今のお店を開きました。
その前も鹿児島市内でワインやチーズの仕事をしていましたが、振り返ると私の食への関心は、生まれ育った家庭にあったかもしれません。
母方の祖父は、「おいしいものをお腹いっぱい食べていれば、悪いことをする人はいなくなる」というのが口癖はでした。
母の実家は床屋さんで、戦前戦後の厳しい時代、お客さんはお金のかわりにお米や野菜を散髪代として持ってくることも多かったそうで、それを使ってたくさん食事を作り、家族だけでなく周囲にも振る舞っていたそうです。
母は祖父の教えを私によく話してくれましたし、母自身も、料理する時は家族の人数の何倍もの量を作って「うちにいつ、人が来てもいいように!」と言っていました。
食に関する、そんな母の心意気が私の中に受け継がれているかもしれませんね。
さて、レストランでの料理や、食品製造をする仕事の難しさは、同じ材料やレシピでも、季節や気温などを常に把握した上で作らないと同じクオリティーの味を生み出せないことです。キッチンでは、カンだけに頼らず、目の前の食材の状態を見極めながら作業します。
屋久島は日本中、世界中から観光客がみえるので、お店に来て下さるお客様それぞれ味の好みが全然違うんです。誰が食べてもおいしい味、というのを探り出すのも難しかったですね。そんな大変さありますが、食事を終えたお客様が「おいしかったです」と笑顔を見せてくださるとほっとします。
では最後に本日の簡単ソースレシピのご紹介です。
今月の簡単ソース|ママレードとマスタードのソース
ご家庭の冷蔵庫で瓶のママレードがちょっと残っていたりしませんか。
ママレードとサンドイッチに使うイエローマスタードを1対1でまぜるだけ!
バーベキューソースのようなあまじょっぱい味になります。屋久島ヴィータキッチンでは、チキンのソテーに屋久島の特産品たんかんを使ったジャムとマスタードを合わせて、たんかんソースとして提供しています。
豚肉にもよく合いますし、オレンジがかった色がきれいなんですよ。野菜や果物は色によって含まれる栄養素が違います。一皿のお料理に沢山の色を使うことで、いろんな栄養素をとることができます。
一食一食、自分のために、そして誰かのために、楽しみながら、わくわくしながらお料理できるといいですね。ママレードのソースぜひ試してみてください。
第3回|お料理教室① ソースの面白さを伝える現場
こんにちは。屋久島ヴィータキッチンというレストランで料理を担当している、小林恵です。私はほぼ月に1回、天文館のマルヤガーデンズで「恵のソース」というお料理教室を開催していて、十数名の皆さんと日曜日に楽しい時間を過ごしています。
今回はお料理教室のお話をしたいと思います。
この教室のテーマであるソースは、調味料という意味なんですが、私は家庭の味でもあると思っています。ご家庭によってお醤油もマヨネーズもメーカーが違うとお料理している時の香りも違いますよね!それが家庭の味かな?って。だから基本的なソースやお野菜のソースを覚えて家庭の味を作っていってほしいと願っています。
私は以前からトマトソースや、ホワイトソースをたくさん仕込んで冷凍保存していましたが、本当のソースの面白さを感じたのは屋久島に住んでからです。農家の方々がたくさん作ってくださった旬のお野菜をどうしたら長い期間楽しめるかと考えてお野菜のペーストを作り、冷凍し始めたのがきっかけですね。
ペーストは基本的に野菜をゆでてミキサーにかけて、冷凍するだけ。そうするとあとでアレンジがしやすいんです。お店の冷凍庫には紫芋にカリフラワー、玉ねぎ、じゃがいも、バジルもペーストにして保存しておいてソースをつくる時に活用します。屋久島で育った野菜はすごく力強さを感じますね。
ソースのレシピ本は本屋さんなどにたくさんあるんですが、ソースといえばフランス料理みたいに、牛や鳥、ぶた、魚介類などを煮込んだブイヨンがベースになってものを紹介しているレシピが多く、このブイヨン作りがすごくハードルが高いと思うので、私のレシピではお野菜やフルーツを使ったソースも提案しています。
毎回お料理教室では最初にソースを作って、そのソースを使って食べるメインディッシュを1品、場合によってはそのソースを使ってスープも作ります。
ソースがあるとパスタも簡単にできます。空豆、エンドウ豆などは塩ゆでしてミキサーにかけて、パスタとあえるだけでもおいしいですし、ミキサーにかけたソースをあたためながら牛乳でのばせばポタージュスープになります。手軽で、野菜の魅力も感じられるソース作りは、お料理教室に参加者の皆さんにもとても好評です。
ソースを使うだけで、いつもとひと味違う仕上がりになるので、お料理する方も食べる方もテンションが上がるんです。ソースの面白さをお話させていただきました。
では最後に本日の簡単ソースレシピのご紹介です。
今月の簡単ソース|粒マスタードソース
今回は粒マスタードソースです。買ったものの出番が少なくて冷蔵庫の中に残りがちな粒マスタード。
マヨネーズとお酢と粒マスタードを2対1対1で混ぜると、豚肉によく合う美味しいソースになります。ヒレやロース、とんかつ用のお肉に塩を振ってフライパンで焦げ目がつくくらいに焼き、この粒マスタードソースをかけていただくと、レストランで食べてるような味になりますよ。
ぷちぷちした食感も楽しめるソースぜひ試してみてくださいね。
第4回|お料理教室② レストランとはひと味違う交流の場所
こんにちは 小林 恵です。いま、月に1度第二日曜日に、天文館のマルヤガーデンズで「恵のソース」というお料理教室を開催しております。前回に引き続きお料理教室のお話をさせていただきます。
レストランの仕事では、お料理を召し上がったお客様が目の前で喜んでくださることにやりがいを感じます。
一方でお料理教室では、レストランの仕事とはまた違った楽しさがあると思っています。
生徒さんから「教わった料理を家で作ったら、家族がすごく喜んでくれました」とか「もう1回作ってねと言われました」と感想をいただくと、教室でお伝えしたことが、お料理の味や作る方(かた)の思いとともにじわじわと広がっていくのを感じる喜びがあります。
お教えする際に心がけているのは、手順を分解してお伝えすることです。
私のお料理教室は「ソース」をテーマにしていて、初回では基本のトマトソース、2回目はホワイトソースを作りました。
回数を少し重ねたところで、トマトソースとホワイトソースを使ったカニクリームコロッケを作るという回がありました。
カニクリームコロッケは、中身のベースとなるホワイトソースを作る過程でカニやタマネギなどを入れます。揚げたコロッケに料理教室の初回でお教えしたトマトソースをそえて盛りつける、というものです。
こんなふうに、それまでに学んだレシピを組み合わせることで、いろいろな料理を作っていけることをお伝えしています。
この回で、「カニクリームコロッケを作ったのは新婚時代以来」という60代の参加者の方もいらっしゃいました。揚げている時にコロッケの中身が飛び出てしまった経験をお持ちで、それから怖くて挑戦できなかったそうです。みんなと一緒に作って失敗しないコツがわかると、また自宅でも作ってみようかな、という気持ちになりますよね。
またそのとき、一緒に作ったのがパテ・ド・カンパーニュ。
パテ・ド・カンパーニュはしゃれたお店で前菜などとして出てくるメニューですね。名前を聞くと「絶対自分で作れない」と思うかもしれませんが、簡単に言えばハンバーグの中身にレバーや豚肉の角切り、スパイスなども入れて、型に入れてむす、という工程で出来上がります。「自宅でこんな料理が食べられるなんて」という、生徒さんのご家族の感想をうかがい、嬉しくなりました。
回を重ねていくと「次はこんなものを作ってみたい」と生徒さん側から提案してくださることもあって、私自身も勉強させていただいています。
お料理教室は私のこれからの人生で、大きな位置を占めていくと思っています。
年齢と共に体力が衰えてきて、今後、食に関わるお仕事で長いスパンで何を続けていけるかな、と少しずつ考えるようになりました。
飲食店の経営はとてもパワーが必要で、ジャム作りなどの製造業は、作る場所を選ばないかわりに売ってくれるお店や販売の方法など営業の必要もあり、これもかなりパワーが必要なんです。
そう考えると、お料理教室は私がこれまで培ってきたものをお伝えする場として、おばあちゃんになってもできるんじゃないかな?と、これからさらに長く続けていければと考えています。
教室を続けていけば、きっと仲間も増えていくことでしょう。
年を重ねてからも、料理を通じて楽しみを分かち合える人が増えるというのは、とてもすてきなことだな、と思います。
自分の楽しみのために皆さんを巻き込んでいるというお料理教室のお話でした。
では毎回ご紹介している超簡単なソースのレシピ、7月は混ぜるだけでできるトマトソースです。
今月の簡単ソース|混ぜるだけのトマトソース
市販のトマトピューレとトマトジュースを使います。
割合はトマトピューレ4にトマトジュース1。
スーパーのハーブ売り場に行くと売っている乾燥のオレガノとローリエを入れます。オレガノは少し多めに!ローリエは2、3枚ほどいれてみてください。塩味はお好みで調整してみてください。
温めてパスタソースにしたりカツレツやコロッケのソースに試してくださネ。
お料理がおいしくなるコツは「ひと手間」です。このソースも冷蔵庫で一晩寝かせることでハーブの香りが良くなじんで、いっそうおいしくなりますよ。
そして、1から手作りのソースにチャレンジしてみたくなったら、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね♪
第5回|エルメスの仕事に関わらせていただいた話
私たちのレストラン屋久島ヴィータキッチンで一番力を入れているのは「サラダ」です。
季節の野菜や、青パパイヤなど、島ならではの食材も使って、甘みや苦味といったさまざまな味、そして切り方によって変わってくる食感の面白さが感じられるようなひと皿に仕上げています。
そんな屋久島の野菜の魅力について、折りに触れてSNSやブログで発信していて、思わぬご縁をいただいたことがありました。
今から5年前、2018年に「小林さんと連絡を取りたがっている方がいる」という話をいただきました。聞くと、国内のさまざまな場所で、その土地の材料を使って1日限定の野外レストランを開く、という企画をしている会社からのご連絡
以前から、その取り組みにはとても興味があったので、お仕事の話があるのなら是非やってみたいなと思ってお会いしました。
そもそも声をかけていただいたきっかけは、屋久島の野菜についてネットで情報を検索したら、私の書いた記事がたくさんヒットしたことだそうです。
担当者の方が食材チームとともに屋久島の私たちのお店に来てくださり、サラダを召し上がってすごく喜んでくださいました。
話によると、屋久島で、あるブランドの飲食を伴うイベントが計画されているとのこと、私は地元農家さんからの野菜の仕入れの仲介役、そして調理の仕込みやお手伝いをさせていただくことになったんです。
2018年11月が本番。実はこのイベントは、エルメスが、名だたる海外のメディア関係者を招いて行う特別なものだったんです。
テーブルも椅子も、お皿も、フォークやナイフといったカトラリーも、フランスから屋久島に運ばれ、当日は色とりどりのお花が生けられた見たことのないような非日常空間が作り出されました。
料理長はスペインの二つ星レストランでシェフの片腕をつとめる日本人。熱源としてまきの火を使って繊細なフルコースを仕立てていきました。
その料理長のサポート役として、フランスの有名シャトーでソムリエ経験もある日本人の方がキッチンとホールをつなぎ、タイミングよくお客様にお料理を提供するデシャップという役割をされました。
私は当日はキッチンにいたので、ゲストの方々とお会いすることはほとんどありませんでしたが、一番感動したのはそのデシャップの方のお仕事ぶりです。
お客様が召し上がるペースに合わせて、秒単位、分単位で料理を出すタイミング、サーブを指示していくんです。
当日のゲストは、外国人の方が40名くらいで、席はあらかじめ決まっていました。キッチンの席順表には、それぞれのお客様が食べられない食材や、この方はビーガンであるなど、フルコースを提供する上で注意すべき情報がびっしり書き込まれていたんです。
最初はお客様も席順どおりに座っていたのですが、そのうち席を移動しはじめました。そんな状況の変化にもきちんと対応するデシャップの方の一流のお仕事をまの当たりにして、本当に感銘を受けました。
世界に知られたブランドが、新商品のお披露目のための特別な場所として屋久島が選ばれる。やはり「世界の屋久島」なんだということを再認識した素晴らしい機会でした。
サラダはメインディッシュの添え物にしかすぎないかもしれませんが、やくしまいちのサラダを食べて頂こうと決め、野菜を仕入れるために、農家さんを巡る果てしない努力がこんな素晴らしい経験をする事に繋がったエピソードをお話ししました。
さて、毎回ご紹介している超簡単なソースのご紹介です。
今月の簡単ソース|ヨーグルトを使ったギリシャのソース
今月はヨーグルトを使ったギリシャのソース。
これまでは混ぜるだけで出来上がるソースでしたが、今回はちょって手間をかけましょう。
無糖のヨーグルト400ミリリットル、キュウリを1本。あとはおろしニンニクのチューブ、塩を小さじ1づつ、用意してください。キュウリはすりおろしていただきたいのですが、めんどうならみじん切りでもOKです。これを塩と混ぜよく水をきっておろしニンニクと一緒にヨーグルトに混ぜます。
ディップとして野菜につけて食べてもいいし、お肉に添えてもいいですし、ギリシャ流にパンに乗せるだけでもおいしいですよ。黒こしょうやクリームチーズを混ぜてもいいですね。
ここでお料理が美味しくなる「ひと手間」を加えるとしたら、水切りヨーグルトにしてみてください。ざるにキッチンペーパーを敷いてヨーグルトから出る水分を切ります。30分置いただけでもだいぶ濃厚になるはずです。
暑い季節を爽やかなソースで乗り越えてください。手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。
第6回|屋久島のたんかんとヤクシカのこと
こんにちは 小林 恵です。ご存じの方も多いでしょうが、屋久島にはたんかんという柑橘類のフルーツがあります。
正直、私は、鹿児島市内に住んでいた時には、たんかんの存在を知りませんでした。
島に来て、最初に勤めたホテルのすぐ近くにたんかんの農園があって、そこで見たのが初めてでした。
私たちのレストラン屋久島ヴィータキッチンがあるのは麦生という地区で、島の南に位置しています。
作家の林芙美子は「屋久島はひとつきに35日、雨が降る」と表現しましたが
、島のどこかで雨が降っていても麦生地区には雨が降らないことが多いのです。
そのおかげで麦生地区のたんかんはとてもおいしく育ちます。
たんかんは他の柑橘と比べても、甘みと酸味のバランスが良く、生で食べてもいいし、加工にもとても向いています。
島で飲食の仕事をするにあたって、特産であるたんかんを使った加工品をぜひ作りたいと思ってジャムなどを手がけ始めました。
ただ、たんかん農家さんの高齢化が進んだり、後継ぎがいなかったり、農業だけで食べていくのが厳しかったり、といった課題が年々大きくなってきているようです。
生のたんかんにはどうしても食べられる期限があるので、生だけでなく、ジャムやジュースなどの加工品として島外に出せるような仕組みが、もう少し大がかりにできれば、特産品としての価値をもっと高めていけるのに、と残念に思います。
屋久島の資源として、ヤクシカも挙げられます。
ヤクシカの大きさは中型犬ぐらいで体重は25㌔ほど、解体して食用に出来る部分は8㌔ほどになりますが、ロースやモモなど調理しやすい部位は買い手がついても、レバーや心臓、すね肉、骨などはなかなか売れません。
そのため、鹿肉の精肉所では、たとえば3㌔のシカ肉の注文が来るたびに、その何倍もの売れない部位が溜まっていくというジレンマがあります。
そこで私たちは、ヤクシカの骨を使ってスープを作り、ドッグフードを作ろうと企画して、商品化に向けて準備をはじめています。
ワンちゃん達にとってもヘルシーなものを提供したいので、ヤクシカの骨のスープに、島内でつくっている豆腐の副産物のおからを加えた商品を考えました。
●試作品はワンちゃんたちにも飼い主さんにもとても好評でした●
私は長年、犬や猫と暮らしてきて、動物たちが亡くなる直前、何でもいいから食べて欲しい、という気持ちを味わったことが何度もあります。
元気な時の食生活を楽しんでもらうだけでなく、そうした最後のタイミングが来たときにも、固形のフードではなく、栄養たっぷりのスープなら、食欲がなくてもワンちゃんに食べてもらえるのではないかと思うんです。
屋久島が抱える食の課題の解決につなげたい、という思いに加えて、そんな個人的な経験もあって、このドッグフードを開発することにしました。
今回は、屋久島の貴重な宝物であるたんかんとヤクシカのお話をさせていただきました。
さて、毎回ご紹介している超簡単なソースのレシピ。
今月の簡単ソース|チミチュリソース
今月のソースはまぜこぜ、という意味の南米のチミチュリソース。
最近はスーパーでも見かけるようになってきました。オリーブオイルとホワイトビネガーを使って作ります。
オリーブオイルとホワイトビネガーの割合は2対1,そこにみじん切りしたパセリやにんにく、乾燥オレガノをお好みで入れて行きます。唐辛子を入れてもいいし、代わりに柚胡椒を使うのもおすすめです。
オリーブオイルとビネガー以外の量はお好きに!なんせ混ぜこぜソースですから。
お好きな方はパクチーを入れても良いと思います。ステーキやお魚のフライ、そしてカルパッチョにも合います。
まだまだ暑い季節に、ちょっとスパイシーなソースがあると、お肉もお魚もお野菜もたくさん食べられるんじゃないかな、と思います。
手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。
第7回|お客様とのエピソード
こんにちは小林 恵です。
今回は、私たちのレストラン「屋久島ヴィータキッチン」に関わるお客様とのエピソードをお話ししたいと思います。
ある日、外国人男性と日本人女性のご夫婦がいらっしゃいました。
お二人へお出しする料理を作り終えた私は、別の方から注文が入っていたバースデーケーキのデコレーションに取りかかりました。気が付くと、旦那様のほうが私の作業の様子をじっと見ていらっしゃいます。そのケーキはスモモのシロップをつくってクリームにまぜたピンク色のものでしたが、旦那様が「その色はどんなふうに出しているのか、そのフルーツは何?僕らが食べたデザートはどうやって二層にしているの?」など、奥様を通じてのいろいろな質問がちょっと専門的だな?と感じていました。
お帰りになる前に奥様から伺ったのですが、旦那様は誰もが一度はお名前を耳にしたことがあるような、パリの伝統あるお菓子屋さんのパティシエだということで、「なるほど~」と冷や汗をかきました。
また別のお客様のお話ですが、お店でランチを召し上がった後、「卵焼きをつくってほしい」と言われました。「あなたがいつもつくっている卵焼きでいいから」ということですが、お店には卵焼き専用の四角いフライパンがないため、丸いフライパンで作ってお出ししました。
その方は、大きなお寿司チェーンを経営している男性で「卵焼きは作った人自身が出る料理なんです。ランチを食べながら、この料理を作ってくれた人が作る卵焼きはおいしいだろうと思って、お願いしたんです」とおっしゃいました。これも驚いた経験です。
デパートの高島屋さんからアイデアをいただき、屋久島ならではの素材を使ったパスタソースのブランド「屋久島パスタラボ」を世に出した時、東京の二子玉川の高島屋さんでのイベントで、お客様に直接、販売する機会がありました。
実際に食べていただけるようにレストランスペースを設けていたら、イベント期間中、毎日食べにきて下さるご近所の方や、ソースを何度も買いに来て下さる方がいたりとにぎわいました。
お体が弱くアレルギーがあるためあまり外食はしないというお客様に、原材料について詳しくご説明し、丁寧にお答えしたらとても気に入ってくださり、今でもSNSでのお付き合いが続いていることや
このイベントで私たちのお店を知って下さり、東京から屋久島のレストランまで訪ねて来られた方々もいらして、本当にびっくりしました。
東京やその近郊にいる友人、知人も駆けつけてくれて、私たちが元気に屋久島で仕事をしていることを伝えることができました。
お店や、商品をお届けしている中で、さまざまなお客様との出会いがあり、嬉しい経験がたくさん増え、お料理がつないでくれる幸せなお仕事をさせて頂いているなあと、感じる毎日です。
毎回ご紹介している超簡単ソースのレシピ。
今月の簡単ソース|ガーリックバター
今月はガーリックバターはいかがでしょうか。パセリバター、エスカルゴバターとも呼ばれます。
材料はパセリ50グラム程度、ひと束で買うと50gくらいあります。バター225グラム、スーパーで売っている長方形の箱型のものはこの量が多いです。
にんにく2かけ、お塩小さじ1です。バターは常温でやわらかくしておきます。まず、にんにくとパセリをフードプロセッサーにかけ、その後、バターと塩も入れて再びフードプロセッサーで混ぜると綺麗なグリーンになります。
パンにのせて焼いたらガーリックトースト、ステーキの上に乗せて余熱でとかしながら食べるのもおいしいですね。作ったらビンにつめて、冷蔵庫で半年くらい保存できますので、イカやエビの炒め物にも使えて、味付けなしで仕上がるのでとても重宝します。
パセリは飾りだと思っていませんか?飾りに使ってもてあましてしまったら
パセリの気持ちになってこのレシピを思い出してください。
手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。
それではまた来月までごきげんよう!
第8回|印象深かったお店のお話
こんにちは小林 恵です。屋久島ヴィータキッチンというレストランで料理を担当しております。
今日は、私がお客様として、最近訪れて印象深かったお店のお話を聞いてください。
今年60歳を迎え、誕生日に正統派のフレンチを食べたいと思い、東京・銀座のとあるレストランに行きました。日本のフレンチレストランの老舗中の老舗で、ワインの品揃えもすばらしいと聞いて、いつかぜひおじゃましたいと思っていたんです。
料理はもちろん、サービス、お店のしつらえ、どの点をとっても感動でした。単に料理がおいしかった、というだけではなく、魂が洗われるような時間、経験だったと言っても過言ではありません。
一歩店に入ると、張り詰めた空気はあるのですが、お店の方はお客様を緊張させない雰囲気に満ちていて、働く方、お店、お客さま、料理のすべてでこの空間ができあがっているんだなと感じました。
メインディッシュは鳩、それに合うワインもソムリエの方と選んでいたのですが、私はどうしても牛肉の方のソースが気になりました。しかし私も料理人のはしくれなので二人同じメニューを選ぶ方がシェフもワインのセレクトも楽だろうと、店の事を気遣ってしまい言い出せずにいたのです。それをしっかり気づいてくれたソムリエが、すかさず、どちらにも合うワインをみつくろってくださるなど、きめ細かなサービスで心残り無く美味しいお料理を頂くことができました。
フランス語で「宝石箱」という意味のお店の名前にちなみ
デザートのタイミングになると、引き出しつきの大きな宝石箱がワゴンで運ばれてきます。色とりどりのマカロンがつまった引き出し、クッキーの入った引き出し、キャラメルの引き出し、チョコレートの引き出しを開けて、「どれでもお好きなものを」と出してくださいました。
ちなみに私は外食する際、料理の写真は撮影しないと決めています。作り手として「今、このタイミングで食べて欲しいという」という時に、写真撮影に夢中になっているのを目にするにつけ「もったいない」という気持ちになるんです。ですから、私はスマホのレンズ越しではなくて、目と心に焼き付けるようにしています。が、このあまりに美しい宝石箱だけはしっかり写真に納めさせていただきました。
私が初めてフレンチレストランに行ったのは20代半。まだ若くて、背伸びしていたこともあり、その場の空気に飲まれて緊張しました。例えば、食事の前にウエイティングバーで食前酒をいただいてリラックスしてからテーブルにつく、など、
一流のお店を訪れる機会を得て、感動した経験の数々は、食に関しての理想を形作ってくれました。
それに向かってすすんでいるつもりですが、少しずつ横道にそれ、軌道修正していても、それは本当に戻りたい場所に戻れているのかな?と。
このひと時を通じて思い返す素晴らしい時間でした。私が深く記憶に刻んだ様に、ヴィータを訪れたお客様の記憶に残る仕事をして行きたいものです。
毎回ご紹介している超簡単ソースのレシピ。
今月の簡単ソース|ゴルゴンゾーラソース
今月は、ゴルゴンゾーラソースです。
ゴルゴンゾーラチーズは世界三大ブルーチーズと言われていて有名な青かびチーズですが、ご近所のスーパーではなかなか手に入らないかもしれません。その場合はほかの種類のナチュラルチーズでも代用できます。食べ残したものを冷凍しておいて、何種類か合わせて作ってもOKです。
ゴルゴンゾーラチーズ、もしくはほかのナチュラルチーズを合わせたもの50グラム、生クリーム100ミリリットルをお鍋にいれて弱火で溶かすだけ。お塩が足りなければ少し足してみて下さい。焼いた鶏肉やおさかなソースとして使えます。出来上がったソースを、牛乳100ミリリットルでのばせば、パスタソースにもなりますよ。
もし、ゴルゴンゾーラに出会えたらぜひ試してみてください。チーズ好きにはたまらないソースです。
手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。
それではまた来月までごきげんよう!
第9回|我が家のいつものごはん
こんにちは小林 恵です。屋久島ヴィータキッチンというレストランで料理を担当しております。
そんな職業柄、よく周りの方から、いつもおいしいモノばかり食べているんでしょう?と聞かれます。
今回はそんな我が家のいつものごはんのお話を聞いてください。
普段は本当に簡単なものしか作りません。
朝ご飯は、ご飯におみそしる、焼き魚、つくだに、梅干し、納豆、卵が定番です。
パンの場合はオムレツを作ったり、前の晩にお鍋をしたときは残りのスープでカレーうどんを作ったりもします。
お味噌や納豆は市販のものですが、毎年梅干しを仕込み、だし昆布で佃煮もて作りします。
夜は、だいたい4、5品作ります。和食の割合が多いですね。冷奴も1品のうちに入ります。
大事にしていることは、冷たいものは冷たく、あたたかいものはあたたかくいただく。最初は冷たいものから始まって、食事を徐々に体になじませていって、メインにあたたかいものをいただきます。
全部のお料理を一度にテーブルに並べることはありませんので、全くSNS映えしません。
子どもの頃からお茶のお稽古を長く続けていたのですが、茶道を通じて、生活全般にかかわること、人をもてなす心を学びました。茶道は、暑いときは涼しくなるように、寒いときにはあたたかくなるようにというこころで、今もそれを守って、リズムを大切にしています。
毎月1日は「おついたち」と呼ばれます。我が家では、お赤飯をたいて、今日を迎えられたことに感謝します。
その日のメニューは母の月命日を引き寄せて、好物だったお刺身と手羽先のから揚げと決まっています。
夕食の鍋料理はかなり頻繁に登場します。シンプルに昆布を一枚、鶏の水炊きに豚バラ、白菜や、豆腐、きのこ、はるさめなどを入れて、ポン酢で食べます。冬でも夏でも十日に1回は鍋です。野菜がたくさん食べられるのでいいですね。残ったスープを、翌朝のうどんやお味噌汁のおだしに使います。
カレーのペーストもソース同様常にストックしているのでカレーうどんも簡単に作れます。朝のカレーうどんとっても美味しいんですよ!
食事を考えるときは、料理名ではなく、鶏肉とか豚肉など、そのとき食べたい素材名から考えていたったほうが、冷蔵庫の在庫の組み合わせや、イメージをふくらませて作りやすいと思います。
常備菜も便利ですね。我が家の冷蔵庫には、マカロニサラダやスパゲティサラダが2,3日分ずつストックしてあり、夏ならキュウリやトマトのざくぎり、みょうがの千切りをドレッシングであえたものもあります。豆も活躍します。ひよこ豆、レンズ豆、緑豆、レッドキドニー、ブラックアイビーンズを一気にゆでて小分けしたものを冷凍してあります。
家の食事は簡単なものでも、お皿と色にはこだわりのポイントがあります。
食事を楽しむ際、味覚が一番機能していると思われがちですが、ある文献によりますと、実は五感のうち、視覚の働きが80%以上、味覚はわずか1%なんだそうです。
家のご飯でも、最低3色取り入れます。青、黄、赤、白、黒の5色を取り入れるときれいにみえるといわれています。色を考える際、お料理だけでなく、お皿やテーブルマットの力も借りるといいと思います。盛り付けのとき、料理の量はお皿の面積の3/1くらいで、あまりてんこ盛りにしないほうがおいしそうに見えますし、食欲もわいてきます。
小林家のいつものごはん、つまらないお話でごめんなさいね!
毎回ご紹介している超簡単ソースのレシピ。
今月の簡単ソース|ほうれん草のグリーンソース
さて12月、鮮やかな緑のソースはいかがですか。
ほうれん草をゆでてしぼらずにお塩を加え、とろとろの状態になるまでミキサーにかけてください。お皿にそのソースをしいてお魚をのせれば、見た目にも美しいひとさらになります。牛乳を足してコンソメで味付けしたらスープにもなります。この時期は、蕪の葉を使ってもいいですね。緑のソースの上に、ゆでた蕪や帆立をのせてもいいですね。
今回は、クリスマスシーズンなので、おまけの小さなレシピも紹介します。じゃがいもをゆでてつぶし、マッシュポテトやポテトサラダを小さな三角形の土台にして、小さく房ワケしてゆでたブロッコリーとプチトマトをさしていけば、実にクリスマスツリーの完成です。
年末年始のテーブルを華やかに楽しんでください。
手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。
それでは少し早いですが、皆様よいお年をお迎えください。
来月までごきげんよう!
第10回|つくること、食べること。私の趣味の話
こんにちは小林 恵です。屋久島ヴィータキッチンというレストランで料理を担当しております。
少し時間がたちましたが、お正月、皆さんはいかがお過ごしでしたか。
我が家は結婚してから37年、毎年おせちを作っています。最近はコンビニもあり元日から食べ物に困ることは少なくなっているのでしょうが、コンビニがない屋久島に住むようになってさらにおせちをしっかり作るようになりました。
基本的に、日持ちするお料理なので、31日まで頑張れば、お正月3が日は、火も、まな板も、包丁を使わずにのんびりできます。私自身、自分のために作っている部分も大きいです。
新年に何か新しい趣味を始めたという方もいらっしゃるかもしれません。少し長くお休みもとれる季節でもある年末年始、私の趣味のお話を少し聞いてください。
私の趣味と言えば、やはり作ることです。掃除をしようと思って片付けに取りかかったはずが、気が付くと大規模な模様替えになっていて、それに事足りず壁の色を塗り替えて、ふすまの紙も張り替えて、簡単な棚をつくったりと、DIYすることもしばしばです。
レザークラフトもあります。雑誌で気に入ったバッグを見つけると、自分が使いやすいようにサイズや、ポケットの位置などを考え、展開図を描いて型紙を作り、革で手作りしていきます。
ただ、やはり、一番の趣味は何といっても「食」ですね。
映画やドラマも好きで、食や料理に関する作品は特に興味深く見ています。
20代の頃、当時天文館にあった映画館で見た「バベットの晩餐会」は忘れられません。デンマークの田舎の村にフランス人の有名レストランの女性シェフが亡命してきて、牧師さんの家でお手伝いすることになります。あるとき、宝くじに当たったこのシェフは、当せん金をすべて使って村の人のために晩餐会を開きます。ウミガメやハトといった村の人には珍しく奇妙な食材を用いたフルコースのディナーを作る、というストーリーなのですが、日ごろ清貧な生活を送る村人たちに、豪華な料理やワインの価値がわかるはずもなく、無言で食事をするうちに、料理のおいしさに心を解きほぐし、いがみ合っていた者同士も打ち解けはじめます。バペットは、食が生きるためだけのものではなく、喜びを感じることだと伝えることで人々に感謝の気持ちを伝えたのではないか。食の映画といえばいつも思い出す素晴らしい作品です。
配信ドラマも面白くみています。「ア・ターブル」は歴史上の人物が食べていた食事を実際に作ってみるというお話しです。クレオパトラ、マルコポーロ、ソクラテス、ベートーベン、レオナルド・ダビンチらが食べていたものを再現しているのですが、「今私たちが食べているものとそんなに違わないんだな」と思ったり、食材の歴史を学べたり、発見があって面白く見ています。そして再現できるものは作って楽しんでいます。
結局食いしん坊な趣味ですね!というお話でした。
今月の簡単ソース|チョコレートソース
さて、いつもの簡単ソース、2月はバレンタインがありますね。私はチョコレートも趣味といえるほど好きで、チョコレート関係の映画は必ず見るようにしています。
「ショコラ」という映画はフランスのある村に親子が移り住んで、チョコレート屋さんを始めるという話です。チョコレートのエネルギーが村人達を元気にしていくのですが、この映画の中で、ラムチョップにチョコレートソースをかけた料理が出てきます。
今回は、このチョコレートソースをご紹介しますね
これまでこの番組でご紹介してきた、混ぜるだけのソースとくらべると、少し難しくはありますが、ぜひチャレンジしてみてください。
材料は
赤ワイン50ml、
固形のビーフコンソメを水でといたもの50ml、
カカオ70%くらいで甘みの少ない板チョコ30グラム
バター30グラム、
チリペッパーをお好みで。チリペッパーがなければ一味唐辛子でも大丈夫です。
赤ワインと、水でといたビーフコンソメスープを合わせて1、2分火にかけて、ワインのアルコールをとばします。そこにチョコレートをこまかく刻んで入れます。最後にバターをとかして、仕上げにチリペッパーをいれます。「ほんのりした甘さとチリペッパーのぴりっとした辛さが特徴のお肉にかけるとおいしいソースが出来上がります。ラムや鴨肉、牛ステーキにも合うソースですのでぜひお試しください。
手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。
それでは来月までごきげんよう!
第11回|鹿児島の良さを、もっと生かすために
こんにちは小林 恵です。屋久島ヴィータキッチンというレストランで料理を担当しております。
私は21歳から31歳まで11年ほど東京に住んでいました。1994年から1995年の最後の1年間は、東京で2週間仕事をして、鹿児島で2週間仕事をするという二拠点生活でした。
現在、私たちのレストラン屋久島ヴィータキッチンに訪れるお客様の8割弱は関東にお住まいの方、2割強は外国人と関東以外にお住まいの方です。製造している商品も8割は関東地方で販売させていただいております。
レストランと、商品を通して都市部と地方についての違いというものを感じることがよくあります。
2拠点生活をしているころ、行き来して感じていたのは、「東京に当たり前にあるものが、鹿児島にはない、」ということでした。鹿児島でも生活に必要なものはそろうのですが、自分が気に入っているもの、例えば愛用の手帳のレフィルなど、こだわって使っているものが手に入らなかった時代でした。今はネットを通じて物を選び、買えるようになったので、「東京にあるものは鹿児島にもある」ようになってきました。
今でも年に数回仕事で東京へ行くことがあります。
渋谷、新宿、原宿、銀座、と街によってカラーがはっきりしていて、さまざまな所得層の人がいます。住んでいる街、そのお店によって利用する人のイメージが違い
私たちも自分たちの商品をどこでどんな人に買ってほしいかを、明確にイメージするために、デパートやスーパーの売り場を定期的に見に行きます。
最近「もっとたくさん売りたい。島外に販路を広げたい。そのためにブランディングをしたい」というご相談をたくさんいただきます。
鹿児島の産品を大消費地に届ける時、私たちは
屋久島ならではの食材を使って商品開発をしている強みを前面に打ち出しています。
百貨店のバイヤーさんたちはそういった地方ならではのワン&オンリーの商品をさがしておられ、お値段が多少高くても、その商品の価値をわかってくれる人には受け入れられる売り場があります。あるスーパーでは、お客さんを9種類のカテゴリーに分けて品揃えや価格帯を決めているとのことでした。
全国や世界の人に商品やサービスを発信したいと考えていらっしゃる方々は、ネットで入手できる情報だけではなく、実際に東京や現場に行き、見て、肌で感じ、触れることで、ご自身の立ち位置を確認し、
その場にあった商品化をしていくことで、鹿児島の良さを的確にお伝えしていけると思います。
もっともっと 「鹿児島にある物が、東京にもある」を増やして行ければ良いなと思います。
さて、2月もなかばとなって、だんだん春が近づいてきました。
毎回ご紹介している簡単ソース、今月は、春色のソース、桜エビのソースをご紹介します。
今月の簡単ソース|桜エビのソース
アメリケーヌソースという甲殻類のソースは有名ですが、それを簡単に自宅でつくれるようにしたいと思いました。
ご用意いただくのは、お好み焼きなどにいれる、乾燥の桜エビを5グラム、
白ワイン50ml
お水50ml
にチキンコンソメを小さじ2分の1杯とかしたもの。
トマトペースト大さじ1に、
生クリーム50g、
お塩少々、
あったらブランデー2,3滴。
作り方は、小鍋で桜エビをからいりして、そこに白ワインとコンソメをとかしたお水を入れます。2,3分加熱してアルコールをとばした後、トマトペースト入れます。
そうしてできた液体を、フードプロセッサーにかけます。そちらをお鍋にもどして生クリーム、お塩で味付けし、香り付けでブランデー2,3滴ふったら完成です。
桜色のソースはパスタにからめてもおいしいですし、お魚やほたてなどを焼いたものに添えてもきれいです。焼いた鶏肉でもいいですね。
手作りのソースをもっと知りたいと思われた方は、マルヤガーデンズのお料理教室でお待ちしてますね。それでは来月までごきげんよう!
第12回|これからの目標、大切にしていきたいこと
こんにちは小林 恵です。屋久島ヴィータキッチンというレストランで料理を担当しております。
昨年から聞いていただきましたオセラジのこのコーナー、私の出演は今回が最後です。
今日は私のこれからの目標をお話しできたらと思います。
ここ数年思い続けているのは、他人の価値をたかめる存在になりたい、仲間作りのプラットフォームになりたい、ということです。
昨年(2023年)、種子島のジェラート屋さん「hope」さんと一緒に屋久島と種子島の食材のコラボで新しいジェラートを作りました。
HOPEさんとの出会いは、商工会さんより「季節のフルーツでジャムをつくりたい」とおっしゃる事業者さまにジャム作りの指導をしてほしいという依頼を受けて種子島へ向かいました。
なぜジャムを作りたいのか理由を伺うと、近所の農家さんの余ったくだものがジェラートだけでは消費できないということでした。その時私が感じたのは「ジャムもいいけれど、ジャムの次まで見越して商品を開発したほうがいい」ということでした。今本当にやるべきことはジャムなのか話をしていくうちに、hopeの風間さんが、地元に貢献したいと考えている方だということがわかってきました。
そうしたご縁をいただいたことで、hopeさんと一緒にオリジナルのジェラートつくろうという計画が持ち上がりました。私たちはジェラートを作る技術をもっていませんが、風間さんにコラボジェラートの企画書を提出し、一から商品開発していく流れを見ていただく、販路開拓するノウハウを見ていただくことでhopeさんも実践しながら学んでいくことができると考えたんです。商品開発と同時にパンフレットを作って百貨店にご案内したり、名だたるスイーツブランドと一緒のカタログに掲載されても遜色のない撮影をすることも大事です。
さらに、コンクールにも出品しました。もちろん賞をとれればいいのですが、出品することだけでも審査員であるバイヤーの方々に見ていただく機会となり商談の可能性も広がります。
Hopeさんからは「一連の流れがわかって勉強になりました」と言って頂けました。
もう一つ事例をご紹介します。私は革小物をつくることが趣味の一つで、数年前には屋久島の島内でワークショップを開いていました。その参加者のおひとりが、ワークショップをきっかけにして、屋久島の鹿の革をなめして染色したものでおみやげの小物を制作されるようになりりっぱな革職人としての道を進み始められました。
商工会の講師として種子屋久地域でセミナーを行ったときにたまたま再会したことがきっかけで、その方のお仕事の今後の展開についてもお手伝いさせていただくことになりました。
そして今回で最後なので種明かしをすると、このオセラジコラムFは5分ほどですがインタビューではなく一人しゃべりのコーナーです。お話をいただいたパーソナリティの遠山さんとは実は10代からの友人で、長いお付き合いの中、初めての依頼でした。
「いいよ!」と快諾したものの、12回分の原稿を考えるのは私一人の力では難易度が高く、頭をかかえました。
そこで、東京に住む新聞記者をしている長年の友人に相談すると
彼女が12回分のコンテンツと質問内容を考えて、毎回ZOOMで私にインタビューを行い、原稿にまとめるという作業を協力してくれました。
おかげで私は毎回楽しく友達と雑談できて、彼女にとっては朝飯前のいつものお仕事が私の苦手な部分をカバーしてくれました。
これをきっかけに、インタビューや、会社や個人のストーリー記事作成など
「彼女の価値を高める」なにかに発展させていけるかもしれないと思える良い経験になり、私の能力を過大評価してくれた遠山さんには深く感謝いたします。
そして、コラムFは”女性”がキーワード、毎回私のコラム終わりの一曲は、夫が話のテーマから想像し女性アーティストの曲を選んでくれました。
こんなふうに、私たちの周りのみんなの価値を高められる、よりよいお仕事や仲間作りをしていけたら、と願っています。
今月の簡単ソース|レフリート|香味ソース
さて、簡単ソース、最後にご紹介するのはレフリートという香味ソースです。
スペインの星付きレストランのシェフに教えていただいたレシピで、
お野菜に香味オイルをかけて食べる、シンプルなレシピです。
材料は、カリフラワー1個
オリーブオイル60ml
にんにく2かけ
スモークパプリカパウダー3g
ワインビネガー小さじ2
お塩小さじ½
ソースを作る前にお野菜の下準備から始めましょう。
カリフラワーを小さな房に分けて鍋にいれて、ひたひたの水に塩を、ワインビネガー、(なければ米酢)を入れてくたくたになるまで煮ます。くたくたに煮ると、野菜のだしがいったん水に出て、また野菜に戻るんです。
次は香味オイルを作ります。
作り方は、オリーブオイルにスライスしたにんにくいれて、弱火にかけて、ガーリックオイルをつくります。にんにくに焦げ色がついてきたら、火を止めて、スモークパプリカパウダーをいれるとすごくいい香りの香味オイルが出来上がります。
これをくたくたににたカリフラワーにじゅっとかけて食べます。野菜はカリフラワーだけでなく、キャベツやロマネスコなど、何でも代用できます。
温かくても冷たくても美味しい前菜になりますよ!バゲットと一緒に召し上がってください。
一年間お付き合いいただき本当にありがとうございました。
屋久島ヴィータキッチンと、マルヤガーデンズのお料理教室でいつでもお待ちしておりますね!またどこかでお会いしましょう。小林恵でした。
※放送当時のご案内です。現在のお料理教室は「惠のソース|ほのほのキッチン」として鹿児島市で開催しています。最新情報は料理教室ページをご覧ください。

